——-以下、私の幼稚園時代からの友人による代筆である。——–
Zfでオールドレンズ沼に浸かることとなった友人です。当ブログ管理人と飲みに行ったときに、映画『PERFECT DAYS』が素晴らしい出来だったと熱弁されたものですから観に行った話をまず。次いでKonica BiGminiというコンパクトフィルムカメラを使用した感想・作例を紹介したいと思います。
1. 映画『PERFECT DAYS』について
映画『PERFECT DAYS』について
あらすじは公式サイトに掲載のある通りです。この映画の何が良かったかを言語化することも愚かといえるほど、映像体験が素晴らしい作品でした。役所広司が主演を演じる平山はとても無口なトイレ清掃員で、主人公にもかかわらず作中のセリフはほとんどありません。視聴者は平山の静かな日常を繰り返し見ていくなかで、代り映えのない日々の中の小さな変化に気付いていくことになります。
演技を全く感じさせない役所広司の振る舞いはさながらドキュメンタリーを見ているようであり、何度も繰り返される平山の日常を見ていく中で自分がその世界に入ったかのような錯覚を覚えます。セリフが少ない分、主人公の心情の解釈は視聴者に委ねられている側面が強く、想像を膨らましながら場面を追う体験は映像でしかできないものだと思いました。
判を押したような日常の中にもちょっとした奇跡は必ずあり、それに気付けるかどうかは我々の日常の作り方次第なのだと感じるようになりました。同じ視点を追うからこそ、その差異に敏感になるのであり、それを感性と表現するのではないかと思った次第です。
さて、平山の日常にはOLYMPUS製のコンパクトフィルムカメラが登場します。彼はモノクロフィルムで木漏れ日を撮ることを日課としていました。私も偶然、Konica製のコンパクトフィルムカメラを手に入れたばかりであり、平山との共通点を見つけてさらに親近感が湧きました。次項では私の使っているBiGminiというカメラについて書きたいと思います。
2. Konica BiGmini BM-302について
こちらのサイトにBiGminiシリーズの概要が作例とともに詳しく掲載されています。私の持っているものはその中でもBM-302というシリーズであり、35mm F3.5の沈胴式単焦点レンズが搭載されています。スペック等の詳細についてはそちらを参考にしていただくとして、ここでは私がこのカメラを入手するに至った経緯について書きます。
このブログにも度々登場していましたが、私はNikon Zfc、Zfとミラーレスカメラを使用してきました。実家に持って帰って庭を撮るなど楽しんでいたところ、父が思い出したかのように差し出してきたのがこのBiGminiでした。父はこのカメラを約30年前の新婚旅行の時に海外で購入しました。元々、別のフィルムカメラを海外に持って行ったそうなのですが、旅行中に故障してしまい、現地で新しく買ったのがこのカメラでした。
新婚旅行が終わり、役目を果たしたBiGminiは長い間実家の押し入れで眠っていたそうで、私のカメラ趣味に呼び起され、実に30年ぶりに現場復帰を果たしたのです。30年間動いていなかったカメラの性能はいかに……と実験をするような気持ちでフィルム1リールをセットしましたが、現像してみるとこれが中々に良い映りで感動してしまいました。次項でその作例を紹介します。
3. Konica BiGmini BM-302作例紹介
使用したフィルムはKodak UltraMax 400です。ちょうど旅行の予定があったので神戸、京都、グアムで撮影を行いました。
これは神戸港で朝に撮影した写真です。建物の輪郭が空の色と被ってぼやけることもなく、良い映りです。空のコントラストも柔らかく映っており、コンパクトな見た目以上の表現力を持っていると思いました。
神戸の元町中華街で撮ったこの写真は恐らく左下にピントが合ってしまい、全体的にピントがぼけています。フィルムの粒子感も相まって何とも言えない懐かしさ、空気感を醸し出している不思議な1枚です。
続いては京都の鴨川沿いで撮った1枚です。光と影の捉え具合を試したくシャッターを切りました。35mm画角は広く、土手だけでなく川の水面まで映るので、情景が分かりやすいです。肉眼で見た光と影のコントラストはもっと強く見えましたが、このカメラとフィルムの組み合わせではコントラストは少なく、柔らかい印象です。
暗所の撮影を試したく、地下鉄のホームでも撮影してみました。ストロボが内蔵されており、手前のタイルの柱まではフラッシュの光を反映した明るさと思われます。線路の暗い部分も黒つぶれせず、レールがしっかりと見えます。
こちらはグアムの船上で撮った写真です。Kodakのフィルムは黄色を強調すると聞いていましたが、救命胴衣の黄色がビビットに目立つ映りをしています。かなり光が強い環境でしたが、海の青と空の青、救命胴衣の青がそれぞれ区別できています。
こちらもグアムで撮った1枚ですが、釣り竿の細い輪郭もしっかり映っています。逆光での撮影ですが、全て黒くつぶれているわけではなく、シルエットの雰囲気も残した表現となっています。
飛行機の窓からの眺めは無条件で良い写真に見えます。白飛びせず、遠くの雲まで立体感を損なうことなく撮れています。
3. 結後
映画『PERFECT DAYS』の話からはじまり、Konica BiGmini BM-302の作例までお話しました。映画の記憶も重なり、コンパクトフィルムカメラは日常の機微を情緒的に捉えることに優れた機器だと感じました。次はモノクロフィルムでも撮影してみたいですね。それでは、ブログを間借りして友人Aがお届けしました。
ーーー以降つつしみーーー
以上、友人の記事でした。PERFECT DAYS、実にいい映画でした。自身もシンプルながら、丁寧な毎日を過ごしたいという欲望が強くなってきています。多くを持たず、真摯に目の前の出来事や、仕事に向き合う、そういった人生に転換していきたい気分です。
コメント